事業者名  高松琴平電気鉄道株式会社
事例名称  経営再建(ことでん100計画の策定)
概要
 平成14年6月に民事再生計画が確定し、同年8月に経営陣を一新し、現在の経営体制が発足した。その際、「ことでん 100 計画」を発表し、「四国一の電鉄会社にします」とのスローガンを掲げ、現在、会社を挙げてこの計画の実施に取り組んでいる。
取組の様子  
協力者・関係者
香川県民100万人
香川県及び2市6町(高松市・さぬき市・綾南町・綾歌町・満濃町・琴平町・三木町・牟礼町)
再生債権者(日本政策投資銀行・百十四銀行・みずほ銀行・預金保険機構)
ことでん利用促進協議会、高松琴平電気鉄道を核とした公共交通活性化検討委員会
背景
高松市を中心に60kmの営業路線を有し、5千人を越える輸送密度で、通勤・通学を主体とする生活路線であった。道路整備の急速な進展等に加え、利用者に対するサービス対応の問題、地域との対話・連携の不足等の問題から、利用者数は年率4%弱程度で減少が続き、厳しい経営状況にあったが、デフレ経済が続く中、それまで経営支援を続けてきた子会社の琴電そごうが経営不振に陥ったため、その影響で琴電も存続の危機を迎えた。
こうした状況に対し香川県は鉄道事業再生のためにはサービス改善、信頼の回復等が前提であるとして、平成14年2月、会社に対して「サービスの改善」と「経営体制の一新」を条件に、平成17年度までの4年間に限り、総額5億円を上限として会社の実施する設備投資に対して沿線1市8町(現在は2市6町)と共に特別支援すると表明。
これを受けて、会社において経営陣の一新と「ことでん100計画」に基づく経営再建の取組が進められている。
内容
県、沿線2市6町の特別支援のもとに 「ことでん 100 計画」(再生計画による需要予測(平成18年度230万人減)から輸送人員100万人増(100万人県民に一人一回多く利用してもらう)を目標)では、3つの企業指針の下に取組を掲げ、年度ベースで「アクションプログラム」を作成して、車両、施設の改良等を実施。16年度にはICカードシステムを導入する予定。このほか実施してきた主な内容は以下のとおり。
1. 「四国一:『サービスの良い』会社にします」では、
@利用者ニーズに対応するため、投書・意見箱「イルカボックス」を有人駅に設置し、平成14年8月−16年1月までに寄せられた合計3,916件の意見全てに対して回答をして駅に貼りだすとともに、可能なものは直ちに実施している。
Aシンボルキャラクターを「いるか」とし、愛称募集により「ことちゃん」と命名。併せて、3路線に「ことちゃん こんぴら号」(琴平線)  「ことちゃん 遍路号」(長尾線)「ことちゃん 源平号」(志度線)を走らせている。
BJR四国と連携して「ことでん・JRくるりーんきっぷ」(平成14年8月−16年1月累計:5,079枚)をはじめとしする期間限定のフリーキップ、一日フリーきっぷを発売している。
2. 「四国一:『地域と共に歩む』会社にします」では
@14年3月、香川経済同友会の働きかけにより発足した沿線市町・経済団体・自治会等の県下77団体で構成する「ことでん利用促進協議会」から、実状視察等を通じて意見をもらう等、地域との連携を強化。
A高松市中央商店街(8商店街)とタイアップして「共通乗り物券」(買い物金額に応じて100円券1枚)を発行、14年12月より16年1月までに電車・バス合計で13,765枚が利用。
3. 「四国一:『生きがいと夢のある』会社にします」では、遅れていた社内体制の整備として
@パソコンを本社・現場管理部門に一人一台ずつ支給し、全ての会議で「ペーパーレス」を実現。
A15年10月より「社内モニター制度」をスタート。
B「業績評価制度」を採用し、平成15年より冬季一時金支給に適用するとともに、今後、人事にも摘要する予定。

鉄道事業者、沿線自治体の概要
事業形態   :第一種鉄道事業者
営業キロ   :60.0km
輸送人員(平成14年度):13,453千人
主な沿線自治体及び人口(平成15年3月末):高松市 334,638人、さぬき市 56,713、琴平町 11,435
効果
新聞論調及び関係者から「やっと普通の電鉄になりつつある」と言われており、社員の意識改革が進んでいると見られる。
平成15年度は「目指せ!151」(具体的には運輸収入を1.5%減、鉄道収入全体を1%減)とのシンプルでわかりやすい目標の下に取り組んでおり、それぞれ1.2%減、0.9%減と、目標を上回って達成する見込み。
成功(失敗)理由
◆これまで計画が着実に実施できている主な理由
社長自ら計画の原案を作成、それについて新経営陣が3ヶ月かけて徹底討論したこと。さらに、全社員に対して社長が計画を自ら説明し、社員の意見を踏まえて修正をしたこと。
100計画はもとより年度計画を含めて「シンプル」な目標設定を行ったこと。
パソコンの配備により、情報の共有化・共通化が浸透しつつあること。
今後の課題  「ことでん 100 計画」を着実に推進しつつ、今後の環境変化等に対応して、これまで以上の努力が必要。
お問い合わせ先  四国運輸局